企業のSNS運用は何に気をつけるべきか?

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世界主要国に学ぶリスク管理の基本

企業がSNS運用を始めるとき、多くの場合、最初に考えるのは「何を投稿するか」「どのSNSを使うか」です。

しかし、世界の流れを見ると、企業SNSはすでに単なる発信手段ではありません。広告表示、口コミ、個人情報、社員教育、未成年保護、炎上時の対応まで含めて、企業の信用に関わるテーマとして扱われています。

U.S. Federal Trade Commissionによれば、米国では2024年10月に偽レビューや虚偽推薦を禁じるルールが発効されました。European Data Protection Boardによれば、EUではSNS上のターゲティングや誤誘導的なデザインが個人データ保護やユーザー保護の観点から整理されています。中国国務院によれば、中国ではネットワークデータセキュリティ管理条例が2025年1月1日に施行されました。シンガポールのIMDAによれば、SNSサービスにはオンライン安全対策が求められています。

さらに、オーストラリア、フランス、デンマーク、ノルウェー、ギリシャなどでは、未成年のSNS利用を制限する動きも強まっています。

つまり企業SNSは、投稿を始める前に、守るべきルールと社内の動き方を整える必要があります。

SNS運用担当者がまず見るべき5つのリスク

1. ブランド毀損リスク

SNSでは、投稿内容だけでなく、返信、沈黙、削除、謝罪の仕方まで見られます。

特に企業アカウントでは、ひとつの発言が「担当者の意見」ではなく「会社の姿勢」として受け取られやすくなります。

SNS担当者は、投稿前に次の点を確認する必要があります。

  • この表現は会社の姿勢として見られても問題ないか
  • 内輪ノリになっていないか
  • 誰かを不用意に傷つけていないか
  • コメントへの返し方に一貫性があるか
  • 炎上時に誰へ相談するか決まっているか

2. 法的リスク

SNSでは、広告表示、口コミ、レビュー、著作権、個人情報、差別的表現など、複数のルールが関係します。

U.S. Federal Trade Commissionによれば、企業やインフルエンサーは、推薦・レビュー・口コミに関して、消費者に誤解を与えないよう広告主との関係性を分かりやすく開示する必要があります。また、2024年10月に発効したルールでは、偽レビュー、虚偽推薦、実体験のない推薦などが問題になっています。

SNS担当者は、最低限。次を確認しましょう。

  • PR投稿であることを明示しているか
  • 提供、報酬、関係性を隠していないか
  • お客様の声を誇張していないか
  • 画像や音源の権利を確認しているか
  • 投稿前に必要な社内確認を行っているか

3. 情報漏洩リスク

情報漏洩は、企業アカウントの投稿だけで起きるわけではありません。

写真や動画の映り込み、社員の個人アカウント、DM対応、採用投稿、イベント投稿なども入口になります。

European Data Protection Boardによれば、SNS上のターゲティングは、単なる広告技術ではなく、個人データの処理として扱われます。シンガポールの個人情報保護当局であるPDPCによれば、PDPAという個人情報保護法では、企業が個人データを取得、利用、開示、管理する際の基本ルールが定められています。

SNS担当者は、投稿前、次を確認しましょう。

  • 顧客名や個人名が写っていないか
  • 社内資料、ホワイトボード、PC画面が写っていないか
  • 未公開情報が含まれていないか
  • DMで個人情報を受け取る流れが決まっているか
  • 採用やイベント写真の許可を取っているか

4. 人によるミスのリスク

SNS事故の多くは、悪意ではなく、確認不足や認識の違いから起きます。

たとえば、担当者の感覚だけで投稿する、経営者の思いつきで急に出す、外部委託先との確認が曖昧なまま公開する、といったケースです。

SNS担当者に必要なのは、センスだけではありません。誰が見ても迷わないルールと、相談しやすい社内の流れです。

以下、確認ポイントです。

  • 投稿前の確認者は決まっているか
  • NG表現や注意テーマは共有されているか
  • 外部委託先との役割分担は明確か
  • 緊急時の連絡先は決まっているか
  • 担当者が休んでも回る状態か

5. 社会的リスク

法律に違反していなくても、社会的に強い批判を受けることがあります。

文化、政治、ジェンダー、宗教、災害、未成年、健康、医療、教育などに関わる投稿は、特に注意が必要です。

シンガポールの情報通信・メディア分野を担当する公的機関IMDAによれば、オンライン安全コードでは、SNSサービスに対して、有害コンテンツへの接触を減らすための対策、ユーザー報告、説明責任などが求められています。

また、European Data Protection Boardによれば、SNS画面における誤誘導的なデザインも、ユーザー保護の観点から問題として整理されています。

SNS担当者は、「法的に問題ないか」だけでなく、「会社としてどう受け取られるか」まで見る必要があります。

国によって、SNS運用で重く見られる点は違う

企業SNSで気をつけるべきことは、国によって少しずつ変わります。

アメリカでは、広告表示、口コミ、レビュー、インフルエンサー投稿など、法務面が重視されます。EUでは、個人情報、ターゲティング、ユーザー保護への配慮が強く求められます。中国では、データ管理や投稿後の監視、規制変更への対応が重要になります。シンガポールでは、多文化社会における表現の配慮、個人情報、オンライン安全対策のバランスが大切です。日本では、法令だけでなく、言い方や返信の温度感、沈黙や謝罪の受け取られ方が信用に影響します。

つまり、企業SNSはどの国でも同じように運用できるものではありません。どの市場に向けて発信するのかによって、見るべきリスクも、気をつけるべき表現も変わります。

未成年のSNS利用を禁止・制限する国々

2026年4月14日時点では、未成年のSNS利用を禁止または制限する動きが世界的に広がっています。これは、企業SNS担当者にとっても重要です。

特に、子ども、教育、健康、美容、ゲーム、エンタメ、採用、地域活動に関わる企業は、若年層への表示、広告、キャンペーン、DM対応に注意が必要です。

オーストラリア

eSafety Commissionerによれば、オーストラリアでは16歳未満を対象にしたSNS利用制限の仕組みが説明されています。

また、Australian Government Federal Register of Legislationによれば、Online Safety Amendment Act が2024年に成立しました。

企業SNS担当者が見るべきことは、若年層向けキャンペーン、年齢確認、保護者向け説明、未成年へのDM対応です。

フランス

Légifranceによれば、フランスでは2023年の法律で、15歳未満がSNSに登録する際に保護者の同意が必要とされています。

ただし、実施面では年齢確認やEU法との関係もあり、2026年時点でも議論が続いています。

企業SNS担当者は、フランス向けに若年層へ訴求する投稿や広告を行う場合、年齢、同意、保護者向け説明に注意する必要があります。

デンマーク

Reutersによれば、デンマーク政府は2025年11月、15歳未満のSNS利用を禁止する方針を発表しました。報道では、13〜14歳については保護者の許可による例外が検討されています。

企業SNS担当者は、デンマーク向けの若年層キャンペーンや、学生・保護者向け発信で注意が必要です。

ノルウェー

ノルウェー政府によれば、SNS利用の年齢制限を15歳に引き上げる法案作業が進められています。

政府は、アルゴリズム、個人データの悪用、商業的搾取、有害コンテンツから子どもを守ることを目的としています。

企業SNS担当者は、北欧向けの発信で若年層データや広告配信を慎重に扱う必要があります。

ギリシャ

Reutersによれば、ギリシャは2026年4月、15歳未満のSNS利用を禁止する方針を発表し、2027年1月1日からの実施を予定しています。

企業SNS担当者は、ギリシャ向けの若年層発信、広告、アカウント誘導、キャンペーン設計を見直す必要があります。

アメリカ・フロリダ州

国ではありませんが、米国では州単位で規制が進んでいます。

Florida Senateによれば、フロリダ州では14歳未満のSNSアカウント作成を禁止し、14〜15歳には保護者同意を求める法律が定められています。

ただし、米国ではこうした規制が憲法上の表現の自由との関係で訴訟になりやすく、執行状況は変わる可能性があります。

企業SNS担当者は、米国向けでは州ごとの差にも注意が必要です。

未成年規制から企業SNS担当者が学ぶべきこと

未成年のSNS利用規制は、SNSが社会に深く入り込んだ結果として起きています。

企業にとって大切なのは、「自社は未成年向けではないから関係ない」と考えないことです。

次のような場合は注意が必要です。

  • 若年層が見る可能性がある商品やサービス
  • 学校、教育、健康、美容、ゲーム、エンタメ関連
  • 未成年がコメントやDMを送る可能性があるアカウント
  • 未成年が写る写真や動画
  • 保護者向けと子ども向けが混ざる発信
  • 年齢確認が必要なキャンペーン

企業SNSは、今後ますます「誰に届くか」だけでなく、「誰に届いてはいけないか」も考える必要があります。

SNS運用担当者向けチェックリスト

初級:投稿前に見ること

  • 写真に個人情報が写っていないか
  • 誰かを傷つける表現がないか
  • 誤解されやすい言い方がないか
  • PR表記は必要か
  • 未成年に届いて問題ない内容か

中級:運用中に見ること

  • コメントやDMの対応ルールがあるか
  • 問題投稿を止める流れがあるか
  • 外部委託先との確認方法があるか
  • 投稿の記録を残しているか
  • 広告やキャンペーンの対象年齢を確認しているか

上級:会社として整えること

  • 社内SNSポリシー
  • 社員向け研修
  • インフルエンサー起用時のルール
  • 個人情報の取り扱い
  • 炎上時のフロー
  • 未成年向け発信の確認
  • 国別リスクの確認

どの国でも共通して必要になる5つの取り組み

1. ルール

社内ポリシー、PR表記、禁止事項、確認フローを決める。

2. 教育

担当者、社員、外部パートナーに、SNSで注意すべきことを共有する。

3. 監視

コメント、DM、反応、炎上の兆し、誤解の広がりを確認する。

4. 対応

問題が起きたときに、誰が、いつ、何をするかを決める。

5. 改善

一度決めたルールで終わらせず、投稿や反応を見ながら更新する。

Wabitalが担える役割

日本企業は、SNSのルールを言葉にして残すことが弱くなりやすい一方で、受け手の空気や関係性を見る力を持っています。

一方、海外企業は、ルールや開示に強い場合でも、日本市場でどう受け取られるかを見落としやすいことがあります。

だからこそWabitalは、ルールを整える視点と、相手にどう伝わるかを見る視点の両方を大切にしています。

これは、日本拠点の企業にも、日本市場に向き合う海外のビジネスオーナーにも意味があります。

まとめ

企業のSNS運用で気をつけるべきことは、国によって変わります。

また、投稿自体は簡単になりました。だからこそ今、企業SNSは「何を出すか」だけではなく、「誰に届くか」「どう受け取られるか」「問題が起きたらどう動くか」まで含めて考えるべきテーマになっています。

企業SNSは、投稿担当者だけの仕事ではありません。会社の信用を守りながら、必要な相手と良い関係を育てるための、経営に近い取り組みです。

References

投稿日

2026年4月27日

最終更新日

2026年4月26日

投稿者

Shogo

カテゴリー

ソーシャルメディアSNS戦略

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